学生レポートvol .1|【2023年7月号】農家が豆腐をつくるということ(前編)

今回取材に同行してくれたのは、愛媛大学社会共創学部山口信夫先生とゼミ生のみなさん。
西予市宇和町にある「豆道楽」さんに行ってきました。
純粋でまっすぐに豆腐作りに向き合う渡邊さんに迫ります…!

8:00 工房見学

お店のてんとう虫を模したシンプルでかわいらしい暖簾をくぐり、お店の奥にある工房に進むと、大豆の香りがぶわっと漂ってきました。

てんとう虫は「豆道楽」のアイコン。大豆の天敵アブラムシを食べてくれる心強い味方。

今回は、「豆道楽」の代表・渡邊 智幸さんにお話を伺いました。
さっそく豆腐の作り方から教わることに。
豆腐作りは、油揚げ、木綿、絹などいくつかの種類に分類することができますが、今回は木綿豆腐の作り方でご紹介します。

まず工房に進んで用意されていたのは、豆腐の原材料である大豆。
ザルの上に置かれていた大豆は、神々しく見えました。

そして、豆腐作りの心臓部ともいえる機械に案内してもらいました。
この機械は大豆をすり潰してペースト状にすることができます。
縦約 180cm、横約 160cm の大きさです。

この機械を使えば大豆を豆乳にすることができる

まず、大豆を機械のミキサーに投入。
5~6 分で白いペースト状になりました。
続いて水を加えます。加える水の量によって豆腐や揚げ豆腐などできあがるものが変わります。
「水の量を多くして、たくさん生産するということも可能ではありますが、おいしい豆腐作りはできない」と語る渡邊さん。
多く作ることを重要視するのではなく、質を求めて豆腐作りに励んでいます。

ペースト状になった大豆を機械の真ん中にある窯に移し熱します。
中を見せていただきましたが、ふたを開けた瞬間に熱気が広がりました。

ふたを開けると湯気が立ち上る

その後、豆乳とおからに分けられて機械から出てきます。
出来上がった豆乳を容器に移す時、豆乳のクリーミーな香りがぶわっとしました。
これが後々豆腐になるとはまだ想像がつかないような、やや黄色味がかかった白色の滑らかな液体になりました。

こうしたできた豆乳の方に、にがりを入れ混ぜます。
豆腐の種類によってにがりの種類も異なってきます。
にがりと豆乳を混ぜるときは、時間との闘い。
温度が高いまま出てくるので、適温まで少し冷まし、にがりをいれて、素早く混ぜます。
この工程では、力加減も重要…!
強すぎても弱すぎてもおいしい豆腐にならないのだそうです。

出来上がった豆腐を、水を張った作業場で蓋を残して型から外します。型の蓋部分を下にして、豆腐を切っていきます。
水の中で豆腐を包丁でスーッと切って早々にパッケージする作業を進めていました。
「これぞ職人技だ…」と感じました。

 

縦横しっかり垂直に。水の中で美しく切り分けられていく

おぼろ豆腐は、手作業で盛り付けます…!この作業は重さを測らずに職人さんが感覚で豆腐を盛るそう。
また手際もとても良く、すごく印象に残っています。
この日はなんとできたてのおぼろ豆腐を試食させていただきました。
まずは、何もつけずにそのままのお豆腐を…。
「甘い!!」とても滑らかな舌触りで、つるんと飲めるような豆腐でした。

次に、西予市で作られているお醤油と一緒にいただきました!味にめりはりがついて、するする食べられる!
シンプルな味付けだけど、味が締まります。

10:30. ひまわり畑

工房内見学を終えた私たちは工房の裏手にあるひまわり畑を見に行きました。
その日は曇りで空気もじめじめしており、ピークが過ぎてしまったひまわりは少し下を向いていましたが、残った黄色い花びらから夏を感じることができました。
このひまわり畑は 2 年前から渡邊さんたちが耕しており、地域に点在している畑は全部で2ha もあるそうです。

工房の裏手は一面のひまわり畑

また、このひまわり畑は地域の景色を作り出しているだけでなく、畑の連作障害を防ぐ効果もあり、畑がやせてくるとひまわりを育てるんだとか…。
見る人々に元気を与えるだけでなく、土にも元気を与えるひまわりは本当に優秀です。
渡邊さんの地域の美しい景色をつくりたい、上質な畑をつくりたいという様々な思いが詰まったひまわり畑、今年はもう見られませんがまた来年の 7 月上旬ごろに気になる方は是非見に行ってみてください!

 

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